ヘテロクリニックの日記

病院勤務医時代に、今の医療体制では患者さんも医療者も幸せになれないのではと感じ、誰もが笑って幸せに生きる医療を届けるべく自由診療を開始しました。癌治療、緩和ケア、訪問診療などの経験を活かし、病気による人間関係、現在の医療問題、就労問題などを楽しく書こうと思います。

まだ誰も経験したことない新しいかたちの医療

はじめまして。

鎌倉の長谷で自由診療をしているヘテロクリニックの高木です。

 

まだ誰も経験したことのない新しい医療とはどんなものでしょうか?

私どものクリニックではより健康に、より幸せに、より自分らしく生きるための医療を提供しています。本来、人はどんな方でも健康に、幸せになれます。それが自分らしい生き方でもあります。

 

このような医療を始めようと思ったきっかけは、従来の病院の医療では本当の意味で患者さんの生きるサポートができないのではと感じたからです。

そのような思いに至ったのは私の病院勤務時代の経験が深く関わります。

そこで出会った多くの患者さんから、「自分の人生を生きる」ということはどういうことなのか考えさせられました。

 

私は医学部を卒業後、大学病院の消化器内科で主に消化器癌の治療に従事していました。当時は胃癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管癌など多くの種類の抗癌剤治療や内視鏡治療をしていました。

癌の治療には大きく分けると、手術と抗癌剤があります。(注:放射線治療やその他の治療、また手術と抗癌剤を組み合わせることもありますが今回は割愛します。)

手術は外科で行われます。一般的にはメスで切って癌を取り除くということになります。

内科では手術で取りきることのできない癌に対して抗癌剤治療をしています。

つまり、私は進行している癌の患者さんを治療していました。

手術でとることができないということは、根治の可能性が低いということになります。(注:他の部位の癌とは異なることがあります。)

 

通常、自分が進行癌であると告知されるとほとんどの方は動揺します。

まさか自分が癌だとは思っていません。告知後は冷静を保ってはいられないのではないかと思います。

癌と聞くと死を連想する人もいるでしょう。抗癌剤治療に対する不安、これから先自分自身がどうなっていくのかと不安もでてくるでしょう。自分のこれまでの人生に対して後悔することもあります。家族の心配、お金の心配、今の仕事をどうしていけばよいか、職場の方との関わり方など、実に多くのことについて悩みます。

 すぐに決断しなければならないことも多いのですが、同時に不安、恐れ、悲しみ、多くの感情と向き合わなければならないのです。

通常病院ではこういったこころのケアをすることは少ないです。少なくとも私が勤務医時代には医師や看護師がこういったこころをケアすることはありませんでした。

当時の私は治療よりも、患者さんが癌になってこれからの人生をどう生きたいか、辛さ苦しさをどう乗り越えていけるのか、そういったことにばかり目がむきました。

ですので、なるべく通常業務の合間に時間をとり、患者さんの思いを聞く時間を持ちました。話す時間を持つことによって少しでも患者さんが楽になるのではないかと考えていたのです。

しかし、病院で診療とは別に時間をとることは非常に難しく感じました。

特に約束をしていない場合でも、深夜に患者さんの家族が待っておられたり、早朝に私が病院に出勤したらすぐに連絡をしてほしいとナースに頼む方もいました。

別の医師の担当患者さんからも、僕のことも相談したい、先生はどう思うかと聞かれるようになることも出てきました。

そうなると医師同士のコミュニケーションも難しくなります。

また時間的な余裕もなく通常勤務にも支障がでるようになってきました。

いつしか、肉体的にも精神的にも自分を保っていることができなくなり、休職をすることになりました。

こうした経験から、医療者も患者さんをサポートするには時間的にも肉体的にも精神的に落ち着いている必要があるのではないかと考えました。

その後、一般病院に移り、慢性疾患や長期療養が必要な方の治療を経験し、さらに東京、横浜、逗子などで訪問診療をしていました。訪問診療では主に寝たきりの方、ご高齢で病院に通うことのできない方に向けて自宅で診察するものです。自分自身で思うように動くことができなかったり、徐々に進行していく病気に無力感、やるせなさを感じている方が多かったように感じます。また家族の方もどうサポートしてよいのか悩み、本人を目の前に自分の気持ちを出せずに悩む方が多いと感じました。

医療は進歩し、長期生存が可能になった日本ですが、介護問題や寝たきりの方が増えているのは事実です。

ただ生きる、長く生きることに対してでなく、よりよく健康に、どんな状態でも活躍できたり、生きがいを感じていける世の中がこれから望まれる医療ではないかと考えています。

そして現在ヘテロクリニックにて自由診療を始めたところです。

 

どう生きたいか、

どう過ごすと自分が満足できるか、

どんな人でも本当に満足できる人生にすることを可能にすべく、新たな医療を作ろうと決心しました。

誰かを思うが故に自分の気持ちを飲み込んでしまったり、 周りや世間を気にして自分に制限をかけて苦しむ方は非常に多いです。

そういったわだかまりを解消し、患者さんも家族の方もどんな方でも健康に幸せに生きる医療をしていくことが私の目標です。