ヘテロクリニックの日記

病院勤務医時代に、今の医療体制では患者さんも医療者も幸せになれないのではと感じ、誰もが笑って幸せに生きる医療を届けるべく自由診療を開始しました。癌治療、緩和ケア、訪問診療などの経験を活かし、病気による人間関係、現在の医療問題、就労問題などを楽しく書こうと思います。

芸能人の病気の告白からみる 日本の差別

最近、芸能人やスポーツ選手の方が自ら癌であることを公表する場面を

多くみかけるようになりました。

闘病をブログやSNSに投稿する方もいます。

知っている存在であるからこそ、

同じように悩む人を勇気づけることもあるでしょう。

 

芸能人であってもそうでなくても癌と診断されると、

多くの不安が押し寄せることと思います。

仕事はどうするのか、

治療はどうなるのか、

家族にはどう話すか、

これから自分はどうなっていくのか、

そのような状況のなかたくさんの決断をしなければなりません。

 

人は迷い、混乱の中にいる時、自分が正しい選択ができているのか

不安になるものです。

現在情報はどこにでも溢れています。

これが絶対に正しいと断定できないことが多い世の中になりつつあります。

 

みんなに知られる存在であるがゆえに

一般の方と違う決断をした時に批判をされることがあったり、

普通の生活をするだけで、自分のイメージや体験と違うと

批判されたりすることもあるようです。

癌患者がこんなに元気なはずがないとか、

自分が知っている病気はこういうものではないとか、

思わぬ批判を受け傷つくこともあるようです。

 

生き方は本人によるものです。

その人の生き方はその本人にしかできません。

こうしたほうがいい、こうするとよい、こうするべきと

自分が正しいという思い込みが人を傷つけることもあります。

 

私自身も以前「もっとこうしたらいいのに。」という気持ちが強く

ひょっとすると患者さんを傷つけていたのではと思うことがありました。

なんとかしたいという思いが強いほど

どうしても自分の意見を押し付けがちになります。

選択肢の中から自分の意思で決断する

それがその人にとっての答えです。

 

誰かの決断は誰のモノでもないその人の決断です。

決断を批判するのではなく、

そういう考え方もあるのだと思える世の中になったら

いいのになと思います。